オーギュメントコードの使い方は?独特な響きの仕組みや定番のつなげ方

いつものコード進行に少し飽きてきたときや、曲にミステリアスな雰囲気、あるいは大人の色気を加えたいときに活躍するのがオーギュメントコードです。独特の浮遊感を持つこのコードは、使い方次第で楽曲の質をぐっと引き上げてくれます。基本の仕組みから実戦でのつなぎ方まで、分かりやすく紐解いていきましょう。

目次

オーギュメントコードは不安定さが魅力で曲に色気が出る

オーギュメント(Augmented)という言葉には「増大した」という意味があります。その名の通り、通常のメジャーコードよりも少しだけ「音の幅」を広げた構成になっており、その絶妙なズレが聴く人に心地よい緊張感を与えます。まずはその正体を詳しく見ていきましょう。

構成音はルート・長3度・増5度

オーギュメントコードは、3つの音を重ねて作られる「三和音(トライアド)」の一種です。通常のメジャーコード(ルート・長3度・完全5度)と比較すると、一番上の音である「5度」の音が半音高くなっているのが最大の特徴です。この半音上がった音のことを音楽用語で「増5度(シャープ・フィフス)」と呼びます。

具体的に「C(ド・ミ・ソ)」のコードで考えてみましょう。Cメジャーコードの「ソ」を半音上げて「ソ♯」にすると、それが「Caug(シー・オーギュメント)」になります。構成音は「ド・ミ・ソ♯」です。すべての音の間隔がちょうど「長3度(半音4つ分)」ずつ離れているという、非常に均整の取れた(対称的な)構造をしています。この特殊な構造が、どこか現実離れした不思議な響きを生み出す源となっています。

記号はaugや「+」で表すことが多い

楽譜やコード譜でオーギュメントコードを見分けるのはとても簡単です。ルート音を表すアルファベットの右隣に「aug」と書かれているのが一般的です。例えば、Cのオーギュメントなら「Caug」となります。また、ジャズなどの楽譜ではプラス記号を用いて「C+」や「C(+5)」と表記されることもよくあります。

初心者の方は「C+5」という表記を見ると「5番目の音を足すのかな?」と勘違いしてしまうことがありますが、これはあくまで「5度の音を半音上げる」という意味です。どの表記が出てきても慌てずに、「5度を半音上げる特別な形だ」と頭の中で変換できるようにしておきましょう。シンプルですが、楽譜上での存在感は抜群です。

どんな響きに聞こえるかが分かる

オーギュメントコードを実際に弾いてみると、なんとも言えない「浮遊感」や「緊張感」を感じるはずです。明るいメジャーコードとも、暗いマイナーコードとも違う、SF映画の宇宙空間や、夢の中にいるようなキラキラとした、それでいて不安定な響きがします。

このコードは「強い解決(次のコードへ進みたい欲求)」を秘めています。半音上がった増5度の音が、すぐ上の音へ進もうとする力が強いため、物語が次に進む直前の「ため」を作るのに最適です。おしゃれなカフェミュージックや、ドラマチックなバラードのサビ前などで耳にすることが多い、非常にドラマチックな響きです。

ディミニッシュとの違いも押さえたい

不安定な響きを持つコードとして、よく比較されるのが「ディミニッシュコード」です。どちらも緊張感がありますが、その性質は正反対と言えます。ディミニッシュが「音の間隔をギュッと狭めた(減らした)」コードであるのに対し、オーギュメントは「音の間隔をパッと広げた(増やした)」コードです。

[Image comparing augmented triad and diminished triad intervals]

ディミニッシュは暗く、何かに追い詰められるような緊迫感がありますが、オーギュメントは明るさを保ったまま、どこか幻想的な広がりを感じさせます。この「外側へ向かう明るい緊張感」こそがオーギュメントの持ち味です。両者の違いを耳で聞き分けられるようになると、曲の感情表現に合わせて最適なコードを選べるようになります。

オーギュメントコードが理解しやすいおすすめ学習ツール

理論を覚えるだけでなく、実際に音を聴きながら学ぶことが習得への近道です。ここでは、オーギュメントコードの仕組みを効率よく学習できるおすすめのサービスを紹介します。

musictheory.net(コードの基礎と練習)

音楽理論を視覚的に学べる世界的な学習サイトです。三和音の種類としてオーギュメントの構造を体系的に学べます。

項目内容
特徴インタラクティブな図解で、初心者にも分かりやすい。
メリットクイズ形式でコードの種類を判別する練習ができる。
公式サイトmusictheory.net

Teoria(Chord Identification 練習)

聴音トレーニングに特化したサイトです。オーギュメントコード特有の響きを耳で聞き分ける力を養えます。

項目内容
特徴自分のレベルに合わせて、出題されるコードの種類を絞れる。
メリット「耳」を使って理論を定着させることができる。
公式サイトteoria.com

Hooktheory(進行の意味が分かる)

既存のヒット曲の分析を通じて、コード進行の役割を学べるツールです。オーギュメントが曲のどこで使われているか一目瞭然です。

項目内容
特徴実際の楽曲データに基づいた視覚的なコード解析。
メリットオーギュメントが「色気」を出す仕組みを実例で学べる。
公式サイトHooktheory

iReal Pro(実践で鳴らして覚える)

バッキング(伴奏)を作成・再生できるアプリです。自分でオーギュメント入りの進行を作り、それに合わせて演奏する練習ができます。

項目内容
特徴ジャズやポップスの定番進行が数千曲分利用可能。
メリットテンポやキーを自由に変えて、実戦に近い練習ができる。
公式サイトiReal Pro

Piano Chords and Scales(コード辞典アプリ)

スマホでいつでもコードの押さえ方を確認できるアプリです。オーギュメントの指の形を即座に調べられます。

項目内容
特徴鍵盤図が表示されるため、指の形を視覚的に覚えられる。
メリットピアノの前に座りながら、サッと確認できる手軽さ。
公式サイトApp Store – Piano Chords and Scales

MuseScore(譜面で確認しやすい)

無料で使える楽譜作成ソフトです。自分でコードを入力して再生し、どのような響きになるかを実験するのに役立ちます。

項目内容
特徴五線譜での表記と音をセットで確認できる。
メリット自分で曲を作りながらコードの響きを試せる。
公式サイトMuseScore 公式

Wikipedia(Augmented triad の概要)

オーギュメントコードの歴史や数学的な性質について詳しく書かれています。

項目内容
特徴専門的な用語を含めた、包括的な解説が読める。
メリットより深く音楽理論を掘り下げたいときに有用。
公式サイトWikipedia(オーギュメント)

オーギュメントコードの使い方と定番のつなげ方

「使い方が難しそう」と思われがちですが、実はいくつかの「黄金パターン」を知っているだけで、すぐに自分の演奏に取り入れることができます。最も自然で、かつ効果的なつなぎ方を紹介します。

メジャーコードから半音上げで入れる

最も基本的で美しい使い方は、同じルートのメジャーコードから「5度」の音だけを半音上げ、その流れで次のコードへつなぐ方法です。これを「ライン・クリシェ」の一部として捉えることができます。

例えば「C → Caug → F」という進行です。Cの「ソ」がCaugで「ソ♯」になり、次のFの「ラ」へと半音ずつ上がっていきます。このように、内側の音が階段を登るように動くことで、進行にストーリー性が生まれ、聴き手をドキッとさせるような色気のある響きになります。まずはこの3つのコードの流れを指に覚え込ませてみましょう。

ドミナント前のつなぎで使いやすい

オーギュメントコードは、曲の区切りやサビ前で「次に進みたい!」というエネルギーを溜める役割を持っています。特に、ドミナントコード(キーがCならGやG7)の代わりとして、あるいはその直前に入れると非常に効果的です。

具体的には「C → Caug → F」のほかに、終わりを予感させる場面で「G → Gaug → C」とつなぐこともあります。Gの5度である「レ」を「レ♯」にすることで、主音である「ミ(Cの音)」への解決感がより一層強まり、曲のエンディングや展開の切り替わりが非常にドラマチックになります。

ベースを変えると動きが滑らかになる

オーギュメントコードを弾く際、ベース音(左手の低い音)を工夫することで、より洗練された響きに変わります。コード名はそのままに、ベースだけをルート以外の構成音に変える「オンコード(分数コード)」的な使い方が有効です。

例えば「Caug/E(ベースがミ)」のようにすることで、ベースラインが滑らかに動き、浮遊感がさらに際立ちます。オーギュメントは構成音が均等に離れているため、どの音をベースにしても独特の響きを維持しやすいという特徴があります。左手の動きを最小限に抑えつつ、お洒落な響きを作りたいときにぜひ試してみてください。

転回形で響きをコントロールできる

オーギュメントコードは、転回(音を入れ替えること)をしても、それぞれの音の間隔が常に長3度のままという面白い性質を持っています。つまり「Caug(ド・ミ・ソ♯)」と「Eaug(ミ・ソ♯・ド)」と「A♭aug(ソ♯・ド・ミ)」は、実は構成音が実質的に同じになります。

この性質を利用すると、右手のポジションを大きく動かさずに、今弾いている位置から最も近いオーギュメントの形を選ぶことができます。メロディラインを邪魔しない高さで転回形を使い分けることで、伴奏のなじみが良くなり、全体のサウンドがよりプロフェッショナルな仕上がりになります。

オーギュメントコードを曲で使いこなすまとめ

オーギュメントコードは、一見すると不安定で扱いづらそうですが、その「不安定さ」こそが音楽に深みを与える魔法のスパイスです。5度を半音上げるというシンプルなルールを理解し、メジャーコードからのライン・クリシェやドミナントでの解決に取り入れるだけで、あなたの演奏は一気に色気を帯びてきます。

musictheory.netやiReal Proなどのツールで響きを楽しみながら、まずは「C → Caug → F」といった定番の形から指に覚え込ませていきましょう。ディミニッシュとの違いや転回形の便利さを知ることで、作曲やアレンジの幅も格段に広がります。いつものコードの隣に、そっとオーギュメントを添えて、新しい音楽の世界を広げてみてくださいね。

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この記事を書いた人

ピアノの弾き方だけでなく、音の作り方そのものに興味がある人へ向けて情報を発信しています。コード進行やメロディづくりのコツも詳しく解説します。ひとつの曲を深く味わえるようになったり、自分のフレーズが生まれやすくなったりする、そんなきっかけをお届けします。

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