歌詞を書くコツとは?初心者が共感される言葉を見つける手順と構成法

自分の思いを歌に乗せて届けたいけれど、いざ書こうとすると言葉が浮かばなかったり、ありきたりな表現になったりして悩むことは多いものです。歌詞作りで大切なのは、心の中の感情をそのまま書き出すのではなく、聴き手がその情景をイメージできるような「場面」を描くことです。

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歌詞を書くコツは「言いたいこと」より「見える場面」で整う

良い歌詞は、聴き手の頭の中に映画のワンシーンのような映像を浮かび上がらせます。感情を直接的に「悲しい」「嬉しい」と説明するのではなく、その感情が生まれる背景にある景色や動作を描写することで、より深く聴き手の心に響くようになります。

まずは一行でテーマを決める

作詞を始める際に最も重要なのは、その曲で「結局何を伝えたいのか」を一行の短い文章にまとめることです。これを「コンセプト」や「コア・メッセージ」と呼びます。テーマが曖昧なまま書き始めると、途中で話が逸れてしまい、結局何が言いたいのか分からない歌詞になってしまいます。

例えば「失恋の痛み」という広いテーマではなく、「雨の日の駅のホームで見送った背中」というように、具体的で限定的な一行を目標にしてください。この中心となる一行がしっかり決まっていれば、すべての言葉がそのテーマに向かって収束し、統一感のある強い歌詞になります。

五感の言葉に置き換える

「好き」や「悲しい」といった抽象的な言葉を、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の「五感」に訴える具体的な描写に置き換えてみましょう。例えば、「寂しい」と言う代わりに「冷え切った缶コーヒーの重さ」や「遠くで聞こえる踏切の音」と表現するのです。

聴き手は、具体的な物や音、匂いの描写を通じて、その場にいるような感覚を味わいます。その結果、あなたが直接言葉にしなかった「寂しさ」という感情を、聴き手自身の体験として感じ取ってくれるようになります。描写が具体的であればあるほど、歌詞の説得力は増していきます。

主語と視点をぶらさない

歌詞の中の「誰が」「誰に対して」歌っているのかという設定を明確にし、最後まで一貫させることが大切です。主語が「僕」から「俺」に変わったり、視点が自分の内面から急に客観的な説明に飛んだりすると、聴き手は物語に没入できなくなってしまいます。

まるでカメラのレンズを通して景色を見ているように、視点の位置を固定してください。主人公が何を見て、何を思い、どこに立っているのかを意識しながら書き進めることで、歌詞の中に一貫した「人格」が宿り、聴き手が共感しやすい物語が生まれます。

音に合う言葉を選ぶ

歌詞は言葉であると同時に、音楽の一部です。メロディーの明るさや切なさ、リズムの強弱に合った言葉を選ぶ必要があります。例えば、高い音の部分には開放感のある「あ」の母音を持つ言葉を置くと歌いやすく、聴き手にも響きやすくなります。

また、メロディーが跳ねている場所には、撥音(ん)や促音(っ)を含んだリズム感のある言葉を選ぶと、音楽と歌詞が一体となって心地よく響きます。意味の正しさだけでなく、声に出したときの「響きの美しさ」や「リズムのハマり」を大切にしてください。

歌詞づくりが進むおすすめの学び場・ツール

プロの作詞の仕組みを知ったり、最新の情報を得たりすることは上達の近道です。信頼できる公式サイトや学習プラットフォームを活用しましょう。

サービス・ツール名特徴公式サイトURL
JASRAC J-WID国内外の楽曲の作詞家・作曲家を検索できるデータベース。https://www2.jasrac.or.jp/eJwid/
JASRAC 公式ガイド著作権や権利の仕組みを学べる。クリエイターとしての基礎知識に。https://www.jasrac.or.jp/creator/
Berklee Onlineバークリー音楽大学が提供する本格的な作詞講座。英語での学習に。https://online.berklee.edu/
Coursera有名大学のソングライティング講座をオンラインで受講可能。https://www.coursera.org/
ヤマハ 音楽制作コンテンツ初心者向けの作詞・作曲のコツが豊富に掲載されている。https://jp.yamaha.com/products/contents/music_production/

ボイスメモで思いつきを貯める習慣

素晴らしいフレーズやメロディーは、机に向かっているときよりも、移動中や家事をしているときなど、ふとした瞬間に降りてくるものです。こうした断片を逃さず記録するために、スマホのボイスメモやメモアプリをフル活用しましょう。

その場では未完成な言葉でも、後で見返すと宝物のようなキーワードになることがあります。日常の中で心が動いた瞬間を「言葉のストック」として貯めておく習慣が、いざ作詞を始めるときの強力な武器になります。

伝わる歌詞にするための組み立てと推敲のコツ

歌詞の構成には、聴き手の感情を誘導するためのセオリーがあります。Aメロ、Bメロ、サビという流れの中で、それぞれの役割を意識して配置していきましょう。

Aメロは状況説明に寄せる

曲の始まりであるAメロでは、物語の「設定」を聴き手に伝えます。時間帯、場所、天気、登場人物の立ち位置などを、淡々と客観的に描写することから始めましょう。

いきなり感情を爆発させるのではなく、まずは聴き手を歌の世界に招き入れることが目的です。ここでの具体的な情景描写がしっかりしているほど、後のサビで語られる感情が際立つようになります。

Bメロは感情の理由を出す

Bメロは、Aメロで提示した状況に対する「心の動き」を描き、サビへの期待感を高めるセクションです。なぜ今、主人公がそのような気持ちになっているのかという、一歩踏み込んだ理由や葛藤を表現しましょう。

リズムを変えたり、メロディーを少し盛り上げたりすることで、サビに向かって感情が昂っていく様子を演出します。Aメロの景色とサビの結論を繋ぐ「架け橋」としての役割を意識して書いてみてください。

サビは言い切りで残す

サビはこの曲の顔であり、最も伝えたいメッセージが込められる場所です。ここでは回りくどい表現は避け、核心を突く言葉を「言い切り」の形で置くのがコツです。

聴き手が一度聴いただけで覚えられるような、強くてキャッチーな言葉を選びましょう。テーマとして決めた「一行」をここに配置し、最も高い音や長い音に合わせて言葉の響きを整えると、非常に印象的なサビになります。

語尾と母音で歌いやすくする

書き上げた歌詞を一度声に出して歌ってみましょう。特定の言葉が歌いにくかったり、言葉の並びが不自然だったりする場合は、推敲が必要です。特に語尾の処理は重要で、母音を意識して「あ」や「お」で終わらせると、声が遠くまで伸びやすくなります。

また、同じ言葉を繰り返したり、韻を踏んだりすることで、リズムが整い、耳に残る歌詞になります。意味を変えずに別の言葉に置き換えられないか、何度も口ずさみながら最適な響きを探し出してください。

読み返したくなる歌詞に仕上げるポイント

歌詞が完成したら、最後に「自分だけの言葉」が入っているかを確認してください。どこかで聴いたことのあるような綺麗な言葉ばかりを並べるよりも、あなた自身の体験から出た、少し不器用でも真実味のある言葉の方が、聴き手の心には深く刺さります。

描写を具体的にし、構成を整え、最後は自分の心に正直な一言を添える。このプロセスを繰り返すことで、あなたの歌詞はより音楽的で、かつ深みのあるものへと進化していきます。今回ご紹介したコツやツールを活用して、ぜひ楽しみながら自分だけの物語を形にしてみてください。

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この記事を書いた人

ピアノの弾き方だけでなく、音の作り方そのものに興味がある人へ向けて情報を発信しています。コード進行やメロディづくりのコツも詳しく解説します。ひとつの曲を深く味わえるようになったり、自分のフレーズが生まれやすくなったりする、そんなきっかけをお届けします。

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