いつものコード進行に少し飽きてきたときや、もっと洗練された都会的な響きを作りたいときに欠かせないのがテンションコードです。基礎的な和音に特定の音をプラスするだけで、音楽に独特な色彩や深みが生まれます。難しいイメージがあるかもしれませんが、仕組みを理解すればピアノの伴奏や作曲にすぐ取り入れられます。
テンションコードとは響きをおしゃれに広げるためのコードのこと
テンションコードは、音楽に心地よい「緊張感(テンション)」を与えるためのコードです。基本となる和音の枠組みを保ちつつ、スパイスのように音を足していくことで、より豊かな表情を引き出すことができます。
9th 11th 13thが加わるイメージ
テンションコードの正体は、1オクターブ(8度)を超えてさらに高く積み上げられた音のことです。基本のド・ミ・ソ(1・3・5度)に7度を足した「セブンスコード」をベースに、その上の9度、11度、13度の音を加えていきます。
たとえばCメジャーコードに9度(レ)を足すと、透き通ったような広がりが生まれます。11度や13度はさらに複雑な響きになりますが、基本的には「奇数番目の音を上に乗せていく」というイメージを持つと分かりやすくなります。これらの音が入ることで、単なる「明るい」「暗い」だけではない、繊細なニュアンスが表現できるようになります。
コードトーンとテンションノートの違い
コードを構成する音は、大きく「コードトーン」と「テンションノート」の2種類に分けられます。コードトーンは1・3・5・7度の音で、そのコードの土台(骨組み)となる音です。これがないと、そのコードが何であるかが分からなくなります。
対してテンションノートは、9・11・13度の音で、いわば「装飾」の役割です。テンションノートは骨組みの上に成り立つ音なので、土台がしっかりしていないと響きが崩れてしまいます。まずはしっかりとしたコードの基礎があり、その上に彩りを添えるのがテンションであると理解しておきましょう。
add9と9thの見分け方
初心者の方が最も混乱しやすいのが「Cadd9」と「C9」といった表記の違いです。「add(アド)」は「加える」という意味で、7度の音を含まずに9度だけを足す指示です。非常にシンプルでポップスでも多用されます。
一方、単に「C9」と書かれている場合は、ベースとなる「セブンス(7度)」の音がすでに含まれていることが前提となります。7度が入ることでジャズやR&Bのような少し大人びた響きになります。楽譜を見たときに「7度が入っているかどうか」を確認するのが、この2つを見分けるポイントです。
使うときの濁りやすいポイント
テンションコードは音が増える分、配置を間違えると音が濁って聞こえることがあります。特に注意したいのが「半音でぶつかる音」です。たとえば3度の音のすぐ隣に11度の音を配置すると、音がケンカしてしまい、おしゃれどころか不快な響きになってしまうことがあります。
また、低い音域でテンションを密集させると音が潰れて聞こえやすいため、テンションノートはなるべく高い位置に配置するのが基本です。自分の耳で響きを確認しながら、音がきれいに分離して聞こえる場所を探してみましょう。
テンションコードがわかりやすいおすすめ本・学習ツール
テンションコードの具体的な使い方やボイシングを学ぶのに役立つ、2026年現在も評価の高いリソースを紹介します。
| 教材・ツール名 | 特徴 | 公式・詳細リンク |
|---|---|---|
| コード理論大全 | テンションの仕組みから禁則まで網羅した決定版。 | リットーミュージック公式 |
| スグ使えるコード進行レシピ | テンションを活かした進行がパターン別に載っています。 | リットーミュージック公式 |
| 3日で作曲入門2.0 | 初心者が挫折しないよう、実践的な使い方を解説。 | ヤマハミュージック公式 |
| コード進行100 | イメージからコードを選べるので、テンポよく学べます。 | リットーミュージック公式 |
| 洗足学園音楽大学 オンライン | 無料で高度な音楽理論講座を公開している貴重なサイト。 | 洗足学園音楽大学公式 |
| O-TO(オート) | ピアノロール上でコード構成音を可視化できる便利ツール。 | O-TO公式 |
洗足学園音楽大学 理論講座(テンション解説)
洗足学園音楽大学のオンライン講座は、無料で公開されているとは思えないほど質が高いことで有名です。テンションコードについても、音名だけでなく五線譜や音源付きで詳しく解説されています。「アベイラブル・ノート・スケール」といった少し難しい概念も、順を追って学ぶことができるため、独学で理論を深めたい方には最適な学習ツールです。
テンションコードを曲で自然に使うコツ
理論を覚えるだけでなく、実際に音を出して「心地よい配置」を見つけることが、自分のものにするための一歩です。
まずは9thから足してみる
いきなり複雑なテンションを使うとバランスを崩しやすいため、まずは最も使いやすい「9th」から試してみるのがおすすめです。9thはメジャーコードでもマイナーコードでも馴染みがよく、一気にプロっぽい響きになります。
たとえば、普通の「C」を「Cadd9」に変えてみるだけで、音がキラキラと輝き始めます。これだけで曲のクオリティが上がったように感じられるはずです。慣れてきたら、バラードのサビ前などで少しずつ他のテンションも混ぜてみましょう。
4和音の上に重ねて考える
テンションコードを組み立てるときは、いきなり全部を弾こうとせず、まず「セブンスコード(4和音)」の形をしっかり作ってから、余った指でテンションを乗せるように考えます。
ピアノであれば、左手でルート(根音)を弾き、右手で3・7度+テンションを弾くという役割分担をすると、響きが整理されて美しくなります。いきなりすべての音を詰め込むのではなく、「土台+α」の意識を持つことで、演奏の負担も減り、きれいな響きが得られます。
メロディとぶつかる音を避ける
作曲や伴奏で最も気をつけたいのが、歌や主旋律のメロディと、足したテンションが「半音」などでぶつかっていないかを確認することです。
せっかくのおしゃれなコードも、歌の邪魔をしてしまっては台無しです。もしメロディの音が「ド」なのに、コードにテンションとして「シ」や「レb」が強く入っていると、濁りが生じてしまいます。メロディラインを最優先にし、そのすき間を縫うようにテンションを配置するのが、自然に聴かせるコツです。
ボイシングで響きを整える
ボイシングとは「音を並べる順番」のことです。同じ構成音でも、どの高さをどの指で弾くかによって、テンションコードの印象は激変します。
テンションノートを一番高い音(トップノート)に持ってくると、その音のキャラクターが強調されて華やかになります。逆に内側に忍ばせると、しっとりとした深みのある響きになります。いろいろな転回形を試して、その曲に最適な「並べ方」を見つけてみてください。
テンションコードとはを理解して伴奏と作曲に活かそう
テンションコードは、あなたの音楽の語彙を増やしてくれる素晴らしいツールです。9thやadd9といった身近なところから少しずつ取り入れるだけで、ピアノの伴奏も作曲のアイデアも驚くほど洗練されていきます。
まずは「コード理論大全」などの書籍を片手に、ピアノでいろいろなテンションを鳴らして、自分の耳が「心地よい」と感じる響きを探してみてください。仕組みがわかれば、今まで難しいと感じていた曲の分析も楽しくなり、表現の幅が無限に広がっていくはずです。
